太陽光パネルの設置が必須に
東京都は今月15日、新築住宅に太陽光パネルの設置を義務化する条例を可決しました。
この条例は温室効果ガスの削減を目的に制定されており、2025年4月からの施行を目指しています。
制度の目的をはじめ義務化の対象者や対象外となる条件など、条例のポイントをまとめました。
太陽光パネル設置義務化の背景と目的
太陽光パネル設置義務化の目的は、都内で排出される温室効果ガスの削減です。
東京都は、2050年にCO₂排出実質ゼロを目指す、「ゼロエミッション東京」の実現に向けて動いています。「2050年にCO₂排出を実質ゼロにする」という目標は、気候危機の深刻化を受け世界で掲げられた共通の目標で、まずは2030年までに温室効果ガス排出量の50%削減に取り組む「カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針」が今年9月に発表されています。
このような動きの中で新設された「建築物環境計画書制度」の中に太陽光パネル設置義務化が盛り込まれました。
太陽光パネル設置義務化はいつから?
太陽光パネル設置義務化は、2025年4月からの施行に向け準備が進められています。
太陽光パネル設置義務は延べ床面積2,000平方メートル未満の建物
2025年4月から太陽光パネル設置が義務付けられるのは、延床面積2,000平方メートル未満の中小規模新築建物です。延床面積2,000平方メートル以上の大規模新築建物については、「建築物環境計画書制度」の改正により、環境配慮の取組内容を記載した計画書の提出が求められます。
太陽光パネルの設置義務者はメーカー
太陽光パネル設置義務があるのは、ハウスメーカー等の事業者です。義務の対象となるメーカーは、年間2万平方メートル以上の建物(住宅・ビル)を建築する大手事業者で、50社程度が見込まれています。
・ハウスメーカー等の住宅供給事業者は、注文住宅の建設事業者や建売住宅を新築し販売する事業者として、都が定める指針に基づき必要な措置を講じ、環境への負荷低減に努めるよう求められます。
・こうした事業者のうち、都内に一定以上の新築住宅等を供給するトップランナー等事業者を対象に太陽光パネルの設置を義務づける仕組みとなっています。
・本制度は、事業者の創意工夫により、太陽光パネルの設置を標準化した魅力ある商品ラインナップの拡充を促進することで、脱炭素社会に貢献するほか、都民の皆様がより災害に強く、健康で快適な住宅の購入等ができる仕組みを目指すものです。
・義務の対象者は、年間2万平方メートル以上の建物(住宅・ビル)を建築する大手事業者(50社程度の見込み)で、都内での年間新築棟数の半数程度の規模を想定しています。引用:東京都HP 太陽光発電設置 「解体新書」・Q&A
【重要】メーカー規模によっては太陽光パネル設置は義務化されない
前の項目でも紹介した通り、太陽光パネル設置が義務付けられるメーカーは、年間2万平方メートル以上の建物(住宅・ビル)を建築する大手事業者のみです。そのため、条件を満たさないメーカーに関しては、新築住宅を建てる際にも太陽光パネル設置は義務付けられません。都は、今回の条例制定によって都内での年間新築棟数の半数程度が対象になることを想定しています。
日照条件などによっても対象外になる可能性がある
太陽光パネル設置が義務付けられている事業者(メーカー等)であっても、日当たりや屋根の大きさ等の条件によっては設置義務を課されない場合があります。
この制度は、義務対象の住宅供給事業者に対し、日照などの立地条件や、住宅屋根の大きさなど個々の住宅の形状等を踏まえ、太陽光パネルの設置を進め、供給する建物全体で設置基準の達成を求める仕組みとなっています。
他の道府県でも太陽光パネルの設置義務化は起こる?
国内自治体 | 【京都府・京都市】2022年、延床面積300平方メートル以上の新築・増築時に設置を義務化 【群馬県】延床面積2,000平方メートル以上の新築・増改築時に設置を義務化(2023年予定) 【川崎市】「川崎市環境審議会脱炭素化部会」の答申を踏まえ設置義務化を検討 |
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2022年12月現在、国内においては、京都府で一定規模以上の新築建物等を対象に太陽光パネル設置の義務化が行われています。また、群馬県でも2023年に延床面積2,000平方メートル以上の建物を対象に太陽光パネル設置義務化が予定されているほか、神奈川県川崎市でも検討が進んでいます。
参考資料
東京都:ゼロエミッション東京